今週のヘッドライン: 2026年08月 4週号
令和8年熊本地震の発生から、まもなく1カ月。甚大な被害を受けた熊本県では19日現在で人的被害は399人に上り、うち39人が亡くなった。住宅被害は全壊1527棟を含め3万3000棟を超え、多くの人が避難を強いられている。農業関係も果樹の落果や園芸施設の倒壊・損壊、農地・農業用施設の損傷などが確認されている。被災地では復旧・復興に向けた作業が始まっている。NOSAIでは引き続き被害状況の全容把握に努めるとともに、共済金の早期支払いや収入保険のつなぎ融資の貸し付けなどを通じて被災農家の早期の営農再開・継続を支援する。
農林水産省は7日、2025年度のカロリー(供給熱量)ベースの食料自給率が前年度比1ポイント低下し、37%となったと発表した。主食用米や野菜の消費量減少が要因で、5年ぶりに低下した。一方で生産額ベースは2ポイント増の66%となり、過去最低を記録した22年度(58%)以降、3年連続で増加した。米や鶏卵の国内価格上昇が寄与した。食料・農業・農村基本計画では、30年度目標をカロリーベースで45%、生産額ベースで69%と設定する。特にほぼ100%を自給できる米の需給と価格安定が自給率向上に欠かせない。世界の食料生産・供給リスクが高まる中、来年度からの新たな水田政策をはじめ、食料安全保障を確保し、自給率向上へ実効性ある対策が求められる。
「令和8年熊本地震」では宇城市、氷川町で最大震度7、熊本市、八代市などで最大震度6強を観測。果樹ではナシの落果などの被害が発生。また、県内広域で園芸施設の損壊・倒壊などの被害が確認されている。NOSAI熊本(熊本県農業共済組合)では地震発生後すみやかに「令和8年熊本地震災害対策本部」を設置。早期の共済金支払いに向け、現地での迅速かつ適切な損害評価に取り組んでいる。
農林水産省によると2026年1~6月の農林水産物・食品の輸出額は、前年同期比10.9%増の8977億円で過去最高を更新した。日本食への関心の高まりや、インバウンド(訪日外客)による認知度向上などを背景に、既存商流の拡大や新規商流の獲得が進んだ。農産物は8.5%増の5674億円で、特に緑茶と牛肉、米は同期間の最高額を記録した。26年上半期の輸出状況を整理した。

京都府福知山市で86farm(はちろくふぁーむ)&まころパンを営む岩切啓太郎さん(40)・康子さん(42)夫妻は、自家産農作物を使ったパンを製造・販売する。収穫した野菜を生地に練り込んだ"動物パン"は、子育て世代を中心に好評で、直売所をはじめ電子商取引(EC)サイトやイベントなどで年間1万5千個以上を売り上げている。「作り手の"真心"を届けたい」という岩切さん夫妻。現在、野菜を使った新作パン作りにも挑戦中だ。

栃木県下野市で施設トマトを栽培する有野力さん(55)は、高単価が期待できる9~11月出荷に対応する抑制長期どり作型に取り組む。高温期に定植するため、黄変果(着色不良)の発生が少ない「桃太郎ブライト」を導入。セルトレー苗で開花までの生育期間を長くして根の伸長を促すとともに、遮熱剤の塗布などで施設内の温度上昇を抑えている。2025~26年作では10アール当たり収量25トンを確保した。このほど開かれた全国野菜園芸技術研究会・千葉大会(千葉市)での発表から概要を紹介する。

【岩手支局】本州有数の厳寒地である盛岡市薮川の圃場(80アール)でおよそ2万本のトウモロコシを栽培する袴田優樹さん(44)。遅霜対策として時期をずらして直播(じかま)きと移植を併用するほか、農業用ドローン(小型無人機)も活用する。地域の防除作業も請け負う。トウモロコシ栽培を通して中山間地域の農業の可能性を発信する。
〈写真:「たくさんの人にこの味を知ってほしい」と袴田さん〉

【岡山支局】笠岡湾干拓地(笠岡市)で酪農を営む山中誠さん(54)は、子牛の感染性下痢症に発酵代用乳(FMR)を給与して手応えを得ている。
〈写真:子牛の様子を確認する山中さん〉

【福井支局】「米を届けるだけでなく、人と人とのつながりを大切にしたい」と話すのは、若狭町海士坂で水稲約13ヘクタールを栽培する保志公平さん(56)。冬に東京や京都、大阪で餅つきの出張イベントを開き、消費者との交流を深めている。
〈写真:出張イベントで餅をこね返す保志さん(右)〉

【石川支局】就農2年目の金沢市磯部の宮前光樹(てるき)さん(28)は、今年は12ヘクタールで水稲栽培に取り組んでいる。若さと行動力で地域農家からの信頼を集め、耕作の依頼が相次いでいる。昨年の9ヘクタールから増え、今後も規模拡大が続く見込みだ。
〈写真:薬剤散布機の準備をする宮前さん〉

【福島支局】水稲15ヘクタールや大豆50アール、ブドウ6アールを栽培する古殿町の「農業生産法人おざわふぁーむ」の小澤啓子さん(68)は、自社産米のおにぎりや郷土料理を製造し地元の道の駅へ出荷するほか、農業を次世代へつなごうと、メディアの力を生かし農業の魅力を発信している。
〈写真:人気地酒の原料となる酒米を紹介する小澤さん〉
▼首(胸部)が赤く、体は黒光りし、つかむと「キーキー」と鳴き、噛〈か〉みつくこともある。独特の臭いも放ち、強い臭いがする液体を出すため、触る際は手袋が必須――。そんな不気味で厄介な外来昆虫の国内生息地が急拡大している。
▼今月も新たに福井県で特定外来生物クビアカツヤカミキリが見つかった。新規確認は今年6県目で、2012年の国内初確認以降、発生地は22都府県に。東アジアに生息する果樹の重要病害虫で、幼虫がウメやモモなどの樹木内部を侵食し枯死させる。サクラも加害するため、名所などにも悪影響を与える恐れがある。
▼発生拡大を受け、農林水産省はより効果的な防除方法の開発などを急いでおり、一部自治体では奨励金付きの捕獲作戦に乗り出すところも。退治は早期発見・早期防除が基本だ。特に似た虫や幹・枝の近くにうどん状の幼虫のふんと木くずの混合物を見つけたら関係機関などに連絡を。
▼侵入外来生物の撲滅は容易でなく、対策には膨大なコストと労力を要する。政府は現在、植物検疫上の問題からポテトチップ加工用に限って輸入している米国産ジャガイモについて、一般流通用の解禁手続きを進めている。米国の要請を受けた対応だが、仮に得体の知れない病害虫が侵入・まん延すれば、国内への深刻な打撃は必至。政府には科学的な根拠に基づく厳格な対応の徹底を求める。