

▼メルコスルとは、ポルトガル語で南米の貿易圏を指す。スペイン語ではメルコスールといい、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビアの5カ国が加盟。日本語では南米南部共同市場と訳す。
▼1995年に発足し、域内関税・非関税障壁の撤廃などに加え、域外との貿易政策などでも協調する。人口約3億人、経済規模約3兆ドルの成長市場で、日本政府はこの貿易圏と新たに経済連携協定(EPA)締結を目指すという。自動車などの輸出拡大はもとより原油や重要鉱物の調達先多角化などにつなげるのが狙い。
▼中東情勢の緊迫化で、経済界は豊富な資源を持つ南米と連携強化へ早期締結を求めている。物価高や石油製品の供給不安に直面する国民の理解も得やすいとの見方も。ただ、相手は食肉や穀物、砂糖などの輸出大国であり、安価な南米産品の流入を招けば国内農業への打撃は必至。前のめりでは将来に禍根(かこん)を残しかねない。
▼今や超大国の大統領が同盟国との貿易協定を一方的に反故(ほご)にする時代。政府には国内生産基盤の強化を大前提に強(したた)かな対応を求めたい。