▼「おはよう」。通勤時、真新しいランドセルを背負った女の子の元気な声。同じ1年生と思われる友人ら数人と合流し、楽しそうに歩いて行く。子どものころから見慣れた風景。ただ、わが母校も児童数がだいぶ減っているそうだ。
▼文部科学省によると、2024年度の全国の小学校の児童数は前年度比10万8千人減の約594万人となった。43年連続の減少で、調査開始以降初の600万人割れとなり、ひと学年の平均が100万人を下回った。2023年度には191の公立小学校が姿を消し、新入生が1人もいない学校も増えている。さらに24年の出生数は72万人台に。少子化対策は待ったなしだ。
▼「小学校もなくなり、ここでの結婚・子育てはなかなか厳しいのが現実。車で30分ぐらいの町の中心部からの通い農業もありだよ、と伝えている」。中山間地で果樹栽培に取り組む40代の農家から、親元就農を志す大学生の息子への思いを聞いた。地域農業を次世代につないでいくために、柔軟な対応も大切になっている。