▼「えぐい、えぐい」。帰りの電車内で高校生たちの話し声。まずいモノを食べたといった悪い話ではなく、どうやら"推し"のライブチケットが奇跡的に確保できたと、歓喜している様子。
▼えぐいは、アクの強い嫌な刺激がある味、どぎつい、ひどい、つらいなどが本来の意味。ただ近年、若い世代は「最高」「素晴らしい」など良い意味でも多用している。さしずめ、喜怒哀楽など何でもその一言で済ます若者言葉"やばい"に続く存在といったところか。
▼正しい日本語の使用は、思いや考えを相手に伝える基本であり、語彙(ごい)力を高め、言葉の表現力を磨くことは大事。インパクト重視の短文・単語の乱用は、時に誤解を生む。とはいえ、時代に応じて新語が誕生し、言葉の意味や使い方が変わるのは世の常でもある。
▼さて、今月20日は参院選挙の投開票日。この際、次世代が「投票率がえぐい」と良い意味で盛り上がれるよう、各党・各候補者の主張を踏まえ、一票を投じに行こう。