

▼「一つとせ 人々驚く大地震 美濃や尾張の哀れさは 即死と負傷人〈けがにん〉数知れず」。10番まで続くこの震災数え歌は、135年前の1891年10月28日に発生した濃尾地震の惨状を生々しく伝える。
▼震源は現在の岐阜県本巣市で、マグニチュードは8.0。世界最大級の内陸直下型地震により7千人以上の命が奪われ、家屋14万戸超が全壊・焼失、「身の終わり(美濃・尾張)地震」などとも呼ばれた。
▼後世を思って受け継がれてきた歌には、懸命な救助の様子も。「五つとせ いかい柱に押さえられ 命の危ぶきその人は やぶりて連れ出す人もある」。6~8番は火災の恐ろしさを七五調にし、最後は「九つとせ ここやかしこで炊き出しを いたして難儀な人々を 神より食事を与えられ」「十とせ 所どころへ病院が 出ばりて療治は無料なり 哀れな負傷人助け出す」と感謝で結ぶ。
▼熊本地震発災からきょうで3カ月。全国各地では豪雨災害も相次ぐ。来月2日には防災庁が設置される。幾多の教訓を防災・減災対策や被災地に寄り添った復旧・復興支援に生かせるか。「防災立国」を掲げる政府の本気度が問われる。